今日はポストカードではありません。
朝一番、8時半の開門時間に合わせて銀閣寺に行ってきました。
掃かれたばかりです。少し遠慮がちに歩きました。
朝早くにもかかわらず、庭師が何人も働いていました。この暑さですから、大変な仕事だと思いますが、庭づくりは究極のクリエイティブ。歩きながら「いいなー、来世でもし男に生まれ変わったら、財を成して晩年に庭づくりしたいなー」と思いました。@女に生まれ変わったら、オペラ歌手です。
細長い棒を持って歩く庭師がいました。何をするのか見ていたら、あちこちの蜘蛛の巣を取って歩いていました。「蜘蛛の巣が多いですね」と話しかけたら、「虫が多いから、この時期は一番多いですよ。3時間もすると、すぐにできますよ」と。蜘蛛も張りきり甲斐があるというもので...。
緑のグラデーションに圧倒されます。
セミもけたたましく鳴いていました。
月を見るためだけに作られた向月台。
銀沙灘(ぎんしゃだん)は月の光を反射させるために作られたもの。
売店に同じ構図のポストカードがあったので、1枚買いました。
若い頃に買った写真集「京都月光浴」(石川賢治)。満月の光だけで撮影された写真集です。
この本の中に、「月待山の頂上部から満月が上がってくると、池で魚が跳ね、静寂の中、水音が計算したように反響し、白鷺が舞い降りてきました。」という一文があります。
この世のものとは思えません...。
中学生の頃、歴史の授業で、「室町幕府8代将軍・足利義政は、政治能力が欠けていたために応仁の乱を引き起こし、その責任から逃れるように東山に居を移し、銀閣寺を建て隠居した。いわば、政治そっちのけで文化に帰依した残念な人」という学び方をした気がします。
いろいろな角度からの見方があるのだと思いますが、いずれにせよ本人はさぞ苦しんだことでしょう。その苦しみが深かったからこそ、究極の美を追い求め、それが、後世の日本が誇る世界文化遺産を生み出したのだと...。
干菓子にある家紋は、天皇家と足利家。
天皇家と足利将軍家が同居・共存している様は、解決不能な問題を抱えながら、お互いの忠誠心が厚いようにも見えます。
とても複雑ですけれど、そんなこと一切考えず、いただきました。
門前の漬物屋さんのおじさんが、開店準備しながら「ひゃー、暑い。しっかり暑い」と言っていました。「しっかり暑い」というのは京都弁でしょうか...??
自宅から銀閣寺まで徒歩10分なのです。
散歩して、ひと休みして、10時には戻ってこられる幸せ。