鳩居堂
先日、京都の友人から「東京でいちばん好きな桜の名所はどこ?」と聞かれました。迷わず、「皇居、千鳥ヶ淵!」と答えました。
わたしは今から15年ほど前、初めて眺めた千鳥ヶ淵の夜桜を、今もはっきりと覚えています。お堀に向かって水面ぎりぎりまで「これでもか!」というくらいに枝を伸ばし、風に揺られて花びらを散らせ、それでも必死にしがみつくかのように花を咲かせていました。息をのむほど美しかった。桜の生命力に人間の情念のようなものが重なり、圧倒されるかのような感覚を覚えました。
春になれば桜は必ず咲くけれど、どこで・だれと・どんな心境で眺めるかによって見え方が変わるという意味では、一期一会の花見です。今年の桜はどんなふうに見えるかなー。ワンコと散歩しながら眺めるくらいでは、さほど味わい深くないですねー。